昨年の秋ごろ、カメラマンの筒井さんと渥美半島田原市の「どろんこ村」へ行ってきた、、
文 小出朝生 写真 筒井誠己
小笠原弘さんと初めて会ったのはいつ頃だろうか、、
おそらく今から30年ほど前である、
当時発行していた季刊雑誌「手の仕事」の特集で農業を取り上げたとき、
取材した農家の一人として会ったのが小笠原さんだった、、

小笠原さんは哲学的な農業者であった、、そして、それは今も変わっていない、、
すごくややこしい理論を話していた、、
おもしろいのは、そんな理論を語っているのが
眼鏡ををかけたインテリ風の優男ではなく、
ガタイのいい大男だったことである、、
冬でも半ズボンにサンダルで、
ぼくの5倍くらい大きい手のひらで、
真っ黒な肌をしていた、、、
当時、まだ渡辺千美江さんと結婚をしていない時期だった、、
小笠原さんは、渥美半島の田原市で収穫した野菜などを、、
名古屋のいろいろな販売店に直接卸していて、
週に2,3回、小笠原さん自身が田原市から名古屋まで車で配達をしていた、、

「どろんこ村」へたくさんの人たちがやってくるようになったのだと思う、
その後、小笠原さんと千美江さんが結婚して、
田原市で「どろんこ村」という農家の暮らしを体験する施設をオープン、
ぼくは何人かと一緒に、「どろんこ村」へ宿泊したこともあるけれども、
そのときは、とれたての美味しい野菜や肉をお腹一杯食べて、、
苦しくて苦しくて、それでもまだ食べたくなるほど美味しくて、、
お腹の苦しみというか喜びというか、そんなのを味わった、、、
それから小笠原さんと千美江さんの挑戦は、とどまることを知らず、
「どろんこ村」はどんどん新しいことに取り組んでいった、、、
小学校の授業で農業体験を取り入れてもらうとか、
大学の研修を受け入れるとか、
「どろんこ村」はどんどん大きくなっていって、
大人から子供まで、たくさんの人たちが
農業体験、農家の暮らしを体験するために、
「どろんこ村」へやってくるようになった、、


今、「どろんこ村」は新たな挑戦を始めようとしてる、
小笠原さん、千美江さんのところで研修をした若い人たちが、
渥美半島周辺で新たに農家として独立して、
「どろんこ村」を中心として農家のネットワークを形成、
大規模で楽しい施設をつくり、
よりたくさんの人たちに
農家の暮らしや農業を体験してらもらえるようになったのである、、
「地球一個分の暮らし」とか「循環型の暮らし」とか、
「どろんこ村」がめざす暮らしは明確だけれども、
田んぼでどろんこまみれになったり、
キャベツを収穫したり、
豚と遊んだり、
地球の歴史を体感したり、
おいしいご飯を食べたり、


都会暮らしでは決して味わうことができない体験をすることで、
なんだか知らないけれども
いやなことを何もかも忘れて
希望みたいなものが
自分の中で少し芽を吹くのが感じられる、、
「どろんこ村」に訪ねるたびに、
ぼくはそんな気分になるのであった、、、
地球一個分の暮らしってこんなに楽しいんだ、
循環型の暮らしって、こんなに豊かなんだと
おいしいご飯と肉や野菜を食べながら感じたりするのである、




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