自転車で桜を見に行った帰り、弁当でも買っていこうとスーパーへ寄り、
自転車置き場の柵のようなところへ自転車を立てかけた。
ぼくの自転車はスタンドがついていないので、
壁とか柱とか、どこかに立てかけないと自立しない。
めんどうだけど、スタンドがないほうが走りやすいので、
ただ、駐輪しようとすると、工夫が必要だし、少々不安定といえば不安定になる。
焼きそばとチャーハンの弁当を買って、
レジで精算して、袋に詰めているところから
ぼくの自転車が見えた。
隣にとまっていた自転車の持ち主らしきおじいさんが、
前かごに荷物を入れようとして、もたついていた。
ぼくの自転車と少し接触しているようだ。
ちょっと、いやな予感がしたが、
ぼくの自転車はちゃんと車止めのような柵に寄りかかって立っている。
早足で、袋を抱えて、自転車のところへ行くと、
おじいさんは、まだもたもたしていた。
あれ、ぼくの自転車がない、、、
一瞬そう思ったが、よく見ると、自転車は地面に倒れていた。
たぶん、
おじいさんが前かごに荷物を入れようともたついているときに、
ぼくの自転車と接触して倒れてしまったようだ。
ま、しょうがない、
やれやれ、と思いながら、自転車を引き起こしたのだが、
そのとき、まだ、もたついている隣のおじいさんを
ちらっと見ると、
俺じゃないよ、という感じで目を泳がせて、
ほんの少しだけ下を向いているような感じだった、
なんだかその姿がかわいかったから、
逆に申し訳ない気持ちになってしまった、、
ごめん、この自転車、倒れやすいんだよなあ、
気にしなくてもいいよ、じいさん、
ぼくは心の中でそんなふうに謝りながら、
さっき見てきた桜の情景が頭に浮かんだ。
いろんな年代の男女が、幸せそうにのんびりとしていた。
桜は、なんだか、一時期、人を幸せにする。
じいさんも
桜を見て、きれいだなとか、いいなあとか、
そんなことを感じたんだろうか。
感じていたなら、いいんだけどなあ、、、
