森安が提案する新しい帽子のかたち

帽子が生まれてくる魅力的な場所

今から30年ほど前かな、、ぼくは、今と同じような仕事をしていた、、、
まだインターネットが普及していないころで、ぼくは小さな雑誌をつくって本屋さんに置いてもらっていた、、、
誰かに話を聞きに行って、それを雑誌に掲載するという、、、、
ほんと、今と全く変わらないことをしていたのである、、、

その小さな雑誌では、自分の住んでいる周辺で、ものをつくっている人たちを探して、
話を聞きに行くという企画をよくやっていた、ほんと、今と変わらないなあ、、、
ときにはぶらぶら散歩しながら、アポなし、飛び込みで、、
「なにやっているんですか」と声をかけて、、話を聞きに行くこともあった、、

名古屋の熱田区に森安という帽子メーカーがある、
小さな帽子メーカーだから、工房と言ったほうがいいかもしれないけれども、、、
森安を紹介してもらったのは、隣の丹羽ふとん店の丹羽さんだった、、
丹羽さんに話を聞いているときに、「そういえば、隣は帽子をつくっているよ」と教えてもらったのである、、

以降、そのころ近くに住んでいたぼくは、何度も森安忠義さんに話を聞くことになった、
いま、森安忠義さんは森安の会長となって、、娘さんの中村純子さんが代表となっているけれども、
当時は森安さんが代表で、バリバリの現役だった、、
森安がつくる帽子は、幼稚園児用の帽子やバスガイド用の業務用帽子など、
どこからか依頼されてつくる帽子のほかに、
ファッションブランドとの共同制作の帽子もつくっていた、、
確か、パリコレで使われる帽子もつくっていたはずである、、、
そういった場合は、森安さんがデザイナーと打ち合わせをしていた、、

ぼくが執筆して筒井誠己さんが写真を撮った書籍「手の仕事の旅 名古屋」から、、
森安の工房、、森安さん、だいぶ若いなあ、、

初めて森安の工房を訪ねたとき、暗い室内で、遠くに灯りがともり、蒸気がじゅーっとのぼっていた、
なんだここは、どこか童話の世界へ迷い込んだような感じであったのである、、
帽子をつくるための木型がたくさん並んでいた、
その木型にフェルトをかぶせて、蒸気を当てて形づくる、
そのための蒸気が暗がりの工房の中で、ときどき、じゅーっと音とたてて白くのぼるのである、、
2階の部屋では、女性が、ブレードと呼ばれる細い紐のよなものを、ミシンを使って、、、帽子へと仕上げていた、
その手わざはまるで魔法のようである、、
なんて、ここは魅力な、ものが生まれてくる場所なんだろう、と思ったのである、、

9月のシルバーウィーク中、名古屋の星が丘テラスで、森安の新ブランドのお披露目があった、、、
期間限定のポップアップストアである、、
これまで、依頼されてつくる帽子がほとんどだった森安が、自社ブランドを立ち上げて、
これから本格的に直販に乗り出していくそうである、、
自社ブランドは、「Loben(ローベン)」と「HATH(ハス)」、、

Loben(ローベン)は、モノトーンをベースにしたデザインが特徴で、木型を用いて一つひとつ手作業で仕立てられる、ちょっと特別な帽子という感じで、HATH(ハス)は、。日常的に身につけるなシンプルながらも洗練されたデザインの帽子という感じである、、今はまだネット販売はしていないようで、これら2つのブランドに触れる機会は、期間限定のポップアップストアに限られるようであるけれども、今後はその機会を増やしていく予定だという、、

ちょっとおしゃれな場所である星が丘テラスのなかで、なかなかいい雰囲気の森安のポップアップストア、
左の角に飾ってある黒い帽子群が「Loben(ローベン)」ブランドの帽子たち

ブランドへの思い

星が丘テラスのポップアップストアトアに、代表の中村純子さんがいたので、ちょっと話を伺った、

ーー自社ブランドを立ち上げて、これから本格的に販売していくんですね、、

中村 そうですね、、、。「ハス」と「ローベン」という2つブランドがあるんですが、「ローベン」は、、帽子に焼きを加えたり、特殊な加工をして、ちょっとワンランク上のものというカテゴリーで、「ハス」は、より身近に帽子に親しんでもらいたいということで、、、

ーー少し高級な路線と日常使いのもの、みたいな感じでしょうか、、

中村 そんな感じですね、、、どちらも、一回ご購入いただくと、1回、無料でメンテナンスをさせていただきます、

ーー自社のブランドの今後を含めて、、森安のこれからについて、

中村 結局、私の祖父の時代から続いてきた手蒸し(木型を使って蒸気で帽子を形づくる手法)の仕事というのは、本当に日本の国内では、だいぶ少なくなってきているのが現状です、、
今は、金型に入れてガチャンと数ができる生産方法が主流になってきていますが、、、、私たちは、手間のかかる手蒸しの仕事にこだわって、伸ばしていきたいと思っています、、かぶり心地とか、手で蒸したものは全然違うので、、
その違いを、お客様に見ていただいて、手に取ってかぶっていただいて、「いいな」と思ってもらいたいなと思っています、、ですから、、、私たちは、もう一歩外へ出て、直接お客様と接する機会を増やしていきたいなと思って、

ーーそれでブランドを立ち上げて、直接販売していくことにしたんですね、

社長 そうです、、今までは星が丘テラスさんのポップアップストアトアが、実際に帽子をかぶっていただける機会だったんですが、、、今後はいろんなところに展開していきたいなと思っています、、

中央辺りに飾ってあるのがHATH(ハス)ブランドの帽子たち

帽子は子供のようなもの

――HATH(ハス)って、ちょっと変わったブランド名ですね、、

中村 私たち、本当にこの「ハス」という名前を、すごく考えて、、、、なんていうんですかね、私たちがつくった帽子は子供みたいなもので、この子供たちを、また次のお家に行っても大事にしてもらいたい、という意味を込めて、、、HAT(帽子)とHOME(家)の頭文字を組み合わせてHATH(ハス)としました、、、

――なるほど、、、今展示されているのは秋冬用ですが、夏用の帽子もあるんですよね、、

中村 はい、あります、、今回は秋冬で並べたので、、、まだ知名度が低いので、今はちょっとお客様に手に取ってもらって、名前を覚えていただくところから始めたいなと思っています、

ーーところで、会長の森安さんとは、よく仕事の相談をされるんですか?(横にいる森安さんをちらっと見ながら)

中村 もう、すごく言われるんですよ、、

――あ、いろいろ仕事に注文を出すんですね、、、

中村 はい。「こんなんじゃダメだ」って、、結局私としては、おじいちゃん、お父さんがやってきたことを、どうやったら今の時代にうまくマッチングさせられるかというところを考えていきたいので、やっぱり昭和の時とはやり方が違うので、喧嘩もあるんですけど、、、
最近はもう、「俺は口出さない方がいいから」ということで、全部任せてもらっているんですけど、、ただ、まだ父がデザイナーさんとのやり取りはしているので、「生涯現役」って言っているので、、

ーーお元気ですもんね、、、、それに、、女性と話すのも好きですもんね(再び、、横にいる森安さんをちらっと見ながら)

中村 大好きですね、、でも、最近はあまり訪ねてくる女性も少なくなってしまいましたが、、まだがんばってもらいたいです、

ーーそうですね、まだまだ元気でがんばってもらいたいですね、新ブランドも期待しています、、

こちらの帽子たちは、、森安でつくっている帽子かな、、、
森安忠義さん、生涯現役でがんばってください、、

インタビューをしている中村さんの横に、84歳になる会長の森安さんがいたので、、
最後にポーズをとってもらって写真をパチリ、、、
生涯現役、ずっと帽子をつくりづけるのって、なかなかできることではない、
今後の森安のブランドが、どのように成長していくのか、とても楽しみである、、

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