オジサン、塩を滝のように流す

サイクリングの途中、
行きつけの喫茶店へ。
ここは常連が集う個人がやっている店で、
お客さんの年齢層はかなり高めだ。
ぼくは珈琲が案外おいしいから、
サイクリングの途中に寄ることがあるくらいで、
とくに常連というわけではない。

あの娘(こ)、昔から派手な子だったじゃない、
ほんで、大阪に引っ越したらしい、
あの家、貸してるがね、
家賃8万円だって、
高っ!

ぼくの後ろの席に陣どっている
おばさんたちの近所に関する会話を聞きながら、
ふと前を見ると、
仕事をリタイヤしたくらいのオジサンが、
ひとりアイスコーヒーを飲んでいて、
モーニングとしてついてくる
ゆで卵を食べようとしているところだった。

殻をむき終わったゆで卵を皿の上に置き、
上から塩をドバドバっと3回かける、
というか滝のように流している。
ぼくは、えっ、とびっくりした。
そんなに塩をかけたら塩の味しかしないでしょ。

オジサン、無表情で、そのゆで卵を一口ぱくつくと、
再び卵を皿に置いて、さらに上から塩をドバドバっと
滝のように流す。
そして、無表情で、パクっと食べ終えた。
いくら塩マニアのぼくでさえ、
その塩の量は多いと思うよ、オジサン。

実家が三重県のほうらしいよ
三重のどこ?
それは知らんけど、、、

再びおばさんたちの会話が聞こえてきて、
ま、いいか、
平和だし、
と、ぼくは適当なことを思っていた。

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