キムネクマバチとランデブー

夕方、ぼくはいつものように、
のんびりとペダルを漕いでいた。
夕方といっても、まだまだ明るい、
西日が眩しいので、
キャップのつばをちょっと下へ、

あまりスピードを出さないで、
ゆっくりと流してるときは
歩道の隅を走る
車は車道を自分たちの道だと思っている、
ほんとうはみんなの道なのに、
邪魔だなあ、この自転車、
そんな思いが伝わってくるから、
ゆっくり走るときには
歩道を走るようにしている、

歩道の端に小さな白い花が咲いていた
なんていう花だろう
その花に顔を突っ込んでいるのが
ずんぐりした黄色のキムネクマバチだ、
ちょっと顔を突っ込んで蜜を吸って
また次の花へと移っている、
蜜に夢中になている
きっとメスだね

蜜、おいしそうだね、
そんなことを思っていると、
違うキムネクマバチが
ぼくのすぐ横にきて、ついてきた
ずんぐりした大きな体に
小さな羽を一生懸命動かして飛んでいる
なんか、よいっしょ、よいっしょ、と
言っているみたいだ
その姿が、なんだか、かわいい

自転車のスピードに
ちょうど合わせるように
ぼくと一緒にサイクリングを
楽しんでいるみたいだ、

風が気持ちいいね、

信号待ちで、ぼくがとまると
ホバリングをして
ぼくに近づいてきた

あのさ、君の彼女はとらないから、
君と争う気はないから、
大丈夫だから、

そんなふうに目で話しかけると
ずんぐりしたお尻を向けて
どっかへいってしまった、

じゃあね、
またね、

よかったらシェアしてね!
目次