朝の8時ころ、ぼくは名古屋駅の新幹線改札口の前で人を待っていた。
この日は、団体客もあって、改札口前は人でごった返していた。
ぼくは団体客から少し離れたところに立ち、ぼんやりとしていると、
目の前に70歳代と思われる女性三人組が現れた。
三人ともにリュックを背負って、スポーティーな格好をしていた。
そのうちの一人の女性が、もう一人の女性の顔の前に
両手を上げて、バイバイと手を振って
じゃあね、またね
もう一人も同じように、同じ女性に両手でバイバイと手を振って
またねー
そのあと、三人はそれぞれ離れていった。
ぼくは、まるで少女のようなその行為に、ちょっと感心してしまった
女性はいいなあ、
白髪の70歳になっても、そんな少女のようなしぐさに違和感がない。
それが、おじさん三人だったら、
おじさんが両手を前に出して
バイバイと手を振って
またねー、ってやったら、
いや、だめだ、
想像しただけで、笑えてくる。
そのとき、
ぼくはひとり笑いこらえるのに必死だった。
その日、ぼくは
おじさん三人がバイバイと手を振っている姿を想像して
笑いをこらえきれずに、何度にやついてしまったことか。
でもさ、考えてみたら、
おじさんだって、バイバイと手を振ったっていいじゃないか。
そういう行為が何の違和感なく
受け入れられる世の中になったっていいんじゃないだろうか。
むしろ、その方が楽しい世の中になるんじゃないだろうか。
うん、
なるかな、どうだろうなあ。