夕日が美しい

今年の2月まで運営していたギャラリー&カフェkinjoは、
名古屋市の川名という場所にあった。
ぼくにとっては、あまり馴染みのない場所だったが、
1年半ほど部屋を借りていて思ったのは、
意外に若い人たちが多いところなんだなあということだった、
近くに名古屋大学や南山大学があったから、
kinjoの前の道が、学生たちの通学路になっていた、

そんな関係で、kinjoにも名古屋大学の学生が
たまに寄ってくれたりしたんだけど、
一番多かったのが中国からの留学生で、
たいていが女性だった、

学生ですか?
と質問すると、
中国系の女性なんだなということがすぐわかるのは、
なんでなんだろうなあ、
安達さんのチェンバロを展示していたときには、
チェンバロを上手に演奏した中国からの留学生もいた、

高校3年の冬、
今でいう大学入学共通試験、
ぼくらの頃は共通一次試験って言ったんだけど、
受けたなあ、
ぼくの試験会場が名古屋大学だった、
雪が降っていたな、

当時はまだ地下鉄の名古屋大学駅がなかったから、
どうやって行ったんだろうか、
憶えてない、、
最寄りの駅は地下鉄の本山駅だったはずだから、
そこから歩いたのだろうか、雪の中、、、

地下鉄の川名駅もできていたみたいだから、
川名駅から歩くという手もあったのかな、
そうしたら、その頃のkinjoの一軒家の前を通ることになったはずだ、
あのころはどんな雰囲気だったのだろうか、

今日の夕日の美しい空を
ちゃんと眺めていこうと思った、
きれいだなあと声に出して、
じっくりと美しさを感じようと思った、

夕日を美しいと思う気持ちは
どんな人生を歩もうと、
結局変わらなかったんじゃないだろうか、

18歳の僕が本山駅ではなく川名駅から
試験会場へ行ったとしても、
試験で大失敗していても、
北海道で就職していたとしても、

結局、この夕日を美しいと思う気持ちへと
たどり着くのではないだろうか、
だったら、どんなふうに生きようと、
別にいいんじゃないだろうか、

それとも、ぼくが川名駅で降りていたら、
気持ちも全く違う境地へと向かったのだろうか、、、

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