続・よく歩いていたころ、

大学を卒業して、道に迷っていたぼくは、
父親の勧めを受け入れて、
多治見市陶磁器意匠研究所という
陶器の専門学校のようなところへ入り、
2年間、陶器について勉強した。

2年間、名古屋の自宅から
多治見の学校まで通ったんだけれども、
金山駅までは原付バイクで行って、
そこから中央線で多治見へ。
そして、
多治見駅から意匠研究所までは歩いた。
だいたい30分くらいかな、、

2年間、行きも帰りも、ずっと歩いていた。

大学を卒業して、
ぼくは、よりストイックに歩くようになっていた。
学校が休みの日には、
あてもなく名古屋の街を歩くようになった。
散歩のように、
のんびりぶらぶらという感じではなく、
なにかに急き立てられるように
歩いていた。

ぼくは道を歩いていたけれども、
進むべき道はまったく見えなかった。

途中で喫茶店に寄ったり、
ランチを食べたり、
そんなことを楽しめばよかったのに、
寄り道は一切せずに、
ただひたすら歩いていた。

余裕がなかったんだろうね、、
若者には、
当時の若者(自分だけど)の姿を思い出すと、
懐かしいという感情はわかず、
ぎゅっと、胸が締め付けられる、、

そして、
抱きしめてあげたくなる、

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