私、絶対運がいい
ーーところで、今さらですが、大野さんは、どうして香りの仕事を始めたんですか?
大野 今でもいろんな人に聞かれます。
もともとはアートワークをする会社に勤めていていました、、建物のここにタペストリー飾りましょうとか、ここにオブジェを置きましょうという美術品のプランニングをしてたんですよ、で、私が27、8歳の頃、バブルが終わった頃ですね、ある現場で仕事をして、、建具も重厚だし、家具も素晴らしい部屋でした、、
で、一段落して、そこでお茶を頂いてたら、何かいい香りがするなと思って、隅っこ見たら大手メーカーのプラスチックの芳香剤が置いてあったんです、、、ああ、惜しいな、、、、これじゃないほうがいいんだけど、、、
そのとき、香りの仕事をしようと思いました、、
でも、その当時、香りの仕事してる人はそんなに多くないんですよね、、、ただ、商品があるぐらいだから、どっかにいるんですよ、、どっかにこの仕事があるんですよ、、
香りの仕事したいなって模索を始めたら、、、私、絶対運がいい方だと思うんですけど、、たまたま名古屋にある大手調香メーカーを退職して、香りの技術を誰かに伝えたいと思ってる人生の先輩に出会ったんです、、、当時推定当50代だと思うんですが、うそ、 40代かもしれないなあ、、
で、その人に出会うきっかけが、ほんと、まさにぴろぴろぴろって天から舞い降りてきたんですよ、、、それで、その人のもとで香りの勉強させていただこうということになり、、、、
その方はフランスの調香学校に留学して香りについて学んでいるんですが、その後、ある会社が香りの事業を展開するために、その方を雇って、商品展開をするとともに調香教室などを行っていこうとしたとき、講師がいないけど、、、となり、
じゃあ私がやりますと手を上げて、、
ーーすごいラッキーですね、、
大野 ほんと、ラッキーでした、、でも、しばらくしてから、その会社内部でよくない事件があったらしく、、香りの事業部が取りつぶしになってしまって、、、、え、こんなにやりたい人がいるのにもったいないと思って、、、じゃあ私が自分でやろうと思って、、、

空間に香水を吹き付け、そこをくぐるような、まとう感じがいいらしい、、
ーーあ、そうなんですか、、、ここで、、、
大野 当時は近くのワンルームマンションで始めました、、、もし、あの時、あの方に会ってなかったら、こういう風にはなっていないし、もし、あの会社が香りの事業展開を継続していたら、私が自分でやろうなんて思わなかったでしょう、、、、それも含めて、すごく運が良かった、、、良かったのかなあ、、、
苦労はいっぱいあったけど、、、25年間、死なずに、これで暮らしてこれたんだから、まあいいんじゃないかと思ってます、、
ーー20数年、香りの仕事を続けてるってすごいことですよ、
大野 ありがたいいことです、、
ーー今は、ここで香りの教室を開催されているのと、、いろんなところから依頼される調香の仕事も多いんですか?
大野 ほんといろいろあるんですよ、たとえばフレーバーティーとかフレーバーコーヒーをつくる際には、食品用に香りを調香しますし、、化粧品の香料とか、その他いろんな商品に香りをつけてほしいという依頼を受けています、、、ブティックが自分のとこのお店のイメージの商品をつくりたいって時に香りを調香したこともあります、、

目に見えなくて、邪魔にならないのがいい
ーー香りって、こんな香りがいいと伝えるのがすごく難しい気がするんですけど、相手の希望を理解して、どうやって香りをつくっていくんですか?
大野 その人が好きな商品を聞いて、それに寄せるのも一つの方法ですし、、実際に使っている好きな香りのシャンプーとかボディソープを持ってきてもらうとか、そうすると想像しやすいですね、、
それらの情報をもとに、私はまず2つのサンプルを提案することにしているんです、、どっちがほしい香りに近いかを選んでもらって、その香りを軸にして修正を加えていきます、、ただし、手直しは2回までと決めていて、その時点で納得できなかったら、そこまでの費用しかいただきません、、、
香りの手直しはきりがないので、そのようにしています、、、
ーー確かに、香りを感じることって、繊細な感覚なので、、、なかなか難しいですね、、
大野 うん、、、その人のその日の体調にもよるし、その日の天候にもよるし、、、生産工程でロットが変われば香りが微妙に異なります、、
ーー確かにそうですね、、全く同じものをつくるっていの難しいんでしょうね、、、たぶん、、
大野 ケミカルだけでやれば同じ香りになると思うけれど、感じる側が違う場合もあるんです、、
同じ香りであっても、日によって感じ方が違うというか、、、、
たとえば、店頭で販売をしていると、雨の日によく売れる商品と晴れてる日によく売れる商品が違うんですよ、、、
ーーああ、なるほど、、
大野 昼に売れる商品と夕方売れる商品もまた違うんですよ、、
ーーその日の気分と言っていいのか、、明るい気分の時に欲しい香りと、ちょっと沈んだ気分のときに欲しい香りは違いますね、、きっと、、
大野 湿度が高くて、じっとりした時には、重たくて甘い香りは、欲しくないですもんね、、、
ーーあーそっか、そうか、なるほど、、大野さんは香りの微妙な違いを、普通の人よりも敏感に感じ取れると、自分では感じられてるんですか ?
大野 多分意識してない人よりは、分かると思う、意識してるかしてないかの違いだと思うんですよね、、
匂いに鈍感と言う方がいますが、、それは匂いを気にしてないだけじゃないかなと思うんです、、
ーー確かに、瞬間、瞬間の香りってあまり気にして暮らしてないです、、、
大野 そうだと思うんです、、無臭な空間って無いですよね、、何かの香りが絶対してるんです、、

そんな方は大野さんに連絡してみてください、、
ーー以前、大野さんにつくってもらったルームフレグランス、ぼくに合った香りを調香してもらったものですけど、あれを一吹きするだけで、空間が激変して、気分が良くなるんです、、
大野 目に見えなくて、手に取れないからこそ、邪魔にもならないっていうのが、香りの最高にいいことだと思うんですよね、、、
ーー香りって、意識してない部分、無意識に働きかけているような気がします、、、
大野 人は鼻から呼吸してますよね、、そうすると絶対に何か香りの信号は息するたびに入ってきているんですよ、、、
気にし過ぎてばっかりいたら大変でしょうけど、、、
私はかす漬けみたいな、、漬物の匂い嫌いなんです、、で、百貨店の地下の食料品売り場で、きれいなケーキのそばから漬物の匂いがしてくると、、、気分がちょっと、、、、
私はワインが好きなんですが、香りが好きなんですよね、、、、鼻先まできた時のワインの香りが、もうなんというか、、、ワインの楽しみを 100パーセントだとすると。 40パーセントぐらいは貰ってる気がしますね、、、飲んだあとに、もう 1回鼻から抜けるじゃないですか、、それが、うん、楽しいですね。
ーーぼくはちょっと分かんないですけど、、、、大野さん自身は、これからどうやっていきたいって思ってるんですか ?
大野 今年の 7月に新しいラインナップを出す予定なんです、、、うちの会社の名前はジャパンスタイルフレグラスっていうんですが、これまでその名前で出した商品は、「桜小姫」という桜の香りのオードトワレ、それと愛知万博のときに出したものくらいです、、、
今年は、ジャパンスタイルフレグランスの名称で、 3アイテムの香水を出そうと思ってるんです、、桜のリメイク版と、柚子の香りのものと緑茶の香りのもので、、、だからジャパンスタイルなんだなっていうわかりやすいのにしようと思って、、
それらを、今後の私の展開の希望としては、フランスで販売をしようと思ってます、、、
ーーすごい、本場ですね、、
大野 日本のものってすごく注目してもらえるというのが理由の一つで、、、、フランスは日本のものが好きですからね、、で、あと今、円とユーロの関係で向こうの人にとっては、日本のものが安く感じるんですよね、、、ちょうどタイミングが合うかなと、、、あと、 ジャパンスタイルフレグランスっていう会社名は、いつかそういう展開をしたいと思ってつけた名前だったので、、、
日本の香りを、世界に向けて発信していきたいみたいな思いが、もともとはスタートだったんです、、、
ジャパンスタイルフレグランス 名古屋市西区笠取町3-178
OFUSEで応援を送る🔸kinjoショップで、大野さんがあなたのためにつくるオリジナルのルームフレグランスを販売する予定です、、
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