名古屋市東区に昭和7年に建築され
ほぼ当時のままの状態で
今も現役の建物として使用されている
名古屋陶磁器会館という洋館がある。
明治から大正、昭和、平成の初期にかけて、
東区、北区あたりは
輸出向けの食器を絵付けする工場などが
たくさんあったところで、
名古屋陶磁器会館は、その象徴的存在だった、
以前は陶器関係の組合事務所が入っていたが、
現在は、いろいろなクリエイターが部屋を借りている、
かつて、ぼくが勤めていた業界新聞社は、
その3階に事務所があった、
ぼくが勤め始めた昭和の終わりごろ、
1階にはスタイリストと呼ばれる
バリバリ働く感じの女性数名が部屋を借りていた、
どんな仕事をしていたのか、
詳しくはわからないが、
テレビ関係の衣装の仕事とか、いろんな店舗のコーディネートとか、
そんな感じだったのではないだろうか、、
2階には陶器関係の金液を扱う業者と
パンフレットなどを制作しているデザイナー、
それから建築設計士の事務所があった、
3階には、ぼくが勤めていた業界新聞のほか、
ファッションデザイナー、
帽子のデザイナー、
ジュエリーデザイナー、
何かのデザイナー、
と、デザイナーばかりがいた。
それらデザイナーはすべて女性だった。
ぼくはもともと文章を書く仕事がしたいと思っていたが、
業界新聞の仕事はたいして面白くなかったから、
少々投げやりな気分のまま、
事務所で怠惰な時間を過ごしていた、
しかし、少人数の事務所だったため、
そのうち何から何まで、ぼくがやることになって、
それはそれでうんざりしながら仕事を進めていくことになった、
ぼくがそんなつまらない業界新聞の仕事を
続けていくことができたのは、
名古屋陶磁器会館に集う
怪しいデザイナーや設計士、
うさん臭い業界人などとの付き合いが
深まっていったからであった、、
そんな怪しい連中との交流を、
これから、記憶をたどりながら、綴っていこうと思う、