いつも行くやよい軒でカウンター席に座ると、
隣の男性、40歳くらいかなあ、
大股を広げて座っているから、
ぼくのスペースが、ちょっとだけ窮屈だなあと思ったけれども、
まあ、気にするほどでもないし、
それよりも、ネバトロ定食が楽しみだなあと空想していると、
隣の大股野郎にチーズハンバーグか何かが運ばれてきた、
すると、この大股野郎、チーズハンバーグ定食が
テーブルに置かれると同時に、
ご飯にかぶりついたのだ、
あまりの素早さと背中を丸めたその姿が
なんか野生の動物を連想させるほどだ、
すげえな、と思った瞬間、
ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃという音が響いた、
な、なんなんだ、この音は、
もちろん、音の発生源は、
野生の大股野郎だ、
こんなに、見事なまでに、
音を響かせながらものを食べるやつに出会ったことはない、
いいかげんにしろよ、てめえ、
と胸ぐらをつかんでやろうかと思ったが、
そんな勇気があるわけなく、、
ぼくは自分のネバトロ定食に集中しようとした、
すると、大股野郎が何かを床に落としたらしく、
それを屈んで、拾っていた、
まあ、ちゃんと床を汚したら処理しないとな、
そのへんの常識は持ち合わせているみたいだな、大股野郎、
と思った瞬間、
拾い上げたその何かを、ぱくっと口に放り込んだのだ、
もはや下品とか、そうったレベルの話ではない、
こいつは人間ではなく、
野生の獣だ、
ぼくはちょっと恐怖をおぼえてしまった、、
その後も、ぺちゃ、ぺちゃと音をたてながら、
チーズハンバーグをむしゃぶりながら、
1回、ご飯のお代わりをして、
大股野郎は、ふっと去っていった、、、
そのとき、ぼくは、
かすかに獣臭がしたような気がした、