おばあさんは、どこへ

ぼくの自宅は名古屋市内の住宅街にあって、
車がすれ違うのに苦労する細い道なんかもある。
そこに住んでいる人だからこそ知っている道、
自分が気に入っている入り組んだ道のルート
みたいなものがあって、
ぼくも、自宅に向かうときには、
この細い道を通って、臨港線を抜けていくのがいいとか、
なぜかあるんだなあ、、

で、いつも、そんなお気に入りのルートを通って
自宅に帰るわけだけれども、
臨港線沿いの角の一軒家、
むかーしからある家だけれども、
ある時期から、おばあさんが窓に立って
じっと外を眺めている姿があった。
それもさ、車で通るぼくの顔を
真顔で、じっと目で追うように見つめるんだ。
最初見た時には、うわっと驚いた。
恐ろしかったから、、

さらに驚いたのは、その家の前を
いつ通っても、そのおばあさんが窓の前に立って
ぼくを見つめるんだ。
ひょっとして一日中立っているのか。
そう考えると、さらに怖くなった、
で、それと同時に、あのおばあさんは、
一日、どんなふうに過ごしているんだろうと思った。

しかし、最近、おばあさんの姿は見かけなくなってしまった。
それどころか、その家、いつも雨戸が閉め切られて、
人の住んでいる気配がなくなってしまった、、

おばあさんどこに行ったのかな、、
そんなことを考えると、
胸が締め付けられる思いがした。 

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