鬼まんじゅう、お好み焼き、男の子

今日は暑いですね、
と、大須にある「浪花餅」のおじいさんが言った。
ほんと、暑いですね、
と、ぼく。
それから、
おはぎを四つ、と付け加えた。

鬼まんじゅうは、今日はもう売り切れたんですか?
いや、鬼まんじゅうは、早くて6月からで、、
あ、そうなんですか、
でも美味しいのは8月から10月くらい、
一年中、販売しているところもあるけど、
やっぱり、冬を越した芋は美味しくないから、
使えないんです、、
へえー、とぼく。

浪花餅のおじいさんは、丁寧におはぎを包んでくれて、
ビニール袋に入れて、手渡してくれた。
ビニール袋のお金は取らない。

次の日、笠寺観音に向かう途中、
持ち帰り専門のお好み焼き屋さんの「まるこう」で
140円の豚玉お好み焼きを二つ購入。
ちょっと小ぶりだが、
サイクリング途中、
休憩したときにぱくつくのにちょうどいい。
ここもビニール袋のお金は取らない。

鶴舞公園のベンチで一休みをしてるときに、
ノリのいい歌声が聞こえてきた。
合唱グループがゴスペルのような音楽を歌っている。
なんか、いい声だなあと思いながら、
ぼんやりと行き来する人たちを眺めていた。
バラが咲き始めていて、
鶴舞公園のバラ園には
多くの人が香りを楽しんでいた。

豚玉お好み焼きをぱくついたところで、
さてと、そろそろ帰るかと思って
立ち上がると、
走ってきた男の子と目が合った。
こんにちは
男の子がぼくの目を見たまま挨拶したから
ぼくも
こんにちは、と返すと
男の子は走り去っていった。

男の子、なんで
ぼくに挨拶したんだろう。
帰り道、
ずっとそのことを考えていた。


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