BREWPUB OZONEには、気になるビール3種を飲み比べができるセットがあって、これが楽しい。味の違いに驚く
クラフトビールの醸造所は、
それぞれがそれぞれの味をイメージしながら醸造している。
ビールづくりに必要な原材料は4種類。
麦芽(モルト)、ホップ、酵母、水、
それらの原材料もたくさん種類があって、
どんな麦芽、ホップ、酵母を使うかによって、味は大きく異なってくる。
さらに、原材料投入のタイミングとか、気温などによっても味は変化するし、
それらを指揮者のようにコントロール、選択しながら、
自分がイメージする音楽を奏でるのが、
クラフトビールの醸造家といえばいいだろうか、、、
たぶん、大切なのはイメージだと思う、
どうしてこんなことを思ったかというと、
名古屋の大曾根にあるBREWPUB OZONEで
クラフトビールの醸造を担当している松本有紀さんの話を聞いて、
ああ、そうか、ビールは、
ほんとにすごいたくさんの要素が影響し合って
最終的に完成するんだなと改めて思ったからだ、
BREWPUB OZONEはJR・名鉄・地下鉄の大曽根駅から歩いてすぐ。店の奥に醸造所がある。ちょっと暗くなってから訪れたから写真からは雰囲気が伝わりにくいかもしれない。テラスだとペットと一緒にビールが飲めるようだ
そこには偶然の要素ももちろんあるかもしれないけれども、
醸造家が選択して、コントロールした結果が
ビールの味を決定するのは間違いない、、
BREWPUB OZONEが、これまで取材した
バタフライブルワリー、みゃーブリューと大きく異なるのは、
「特定非営利活動法人わっぱの会」という団体が運営しているという点である。
この「わっぱの会」は、 障がい者や社会的困窮者と誰もが共に働き
共に生きる社会をつくることをめざして、 様々な事業や活動を推進していて、
現在、健常者、障がい者合わせて約300人が団体で働いているそうだ。
国産小麦・無添加のパンやクッキーやケーキの製造販売、
さらに、農薬を使わない農園を運営して米・野菜を販売しているほか、
障がい者の就労援助などを行っている、
BREWPUB OZONEは、その事業の一つとして、
2021年3月にオープンした。(醸造所は同年10月にオープン)
オープンに当たって、「わっぱの会」がビールの醸造家を募集し、
その際、手を挙げたのが松本さんだった。
それまで松本さんはビール醸造の経験はなかったが、
「おもしろそうだから」という単純な理由で「やりたい」と手を挙げたのだそうだ、
ぼくももう少し若かったら、やりたいと手を挙げていたかも、、、
ビールづくりは、ほんとおもしろそうだから、、
ビール醸造を担うお二人。右が松本有紀さん、左が入社1年目の田島工大さん。なんか師匠と弟子という雰囲気で、いい笑顔だからこの写真に決めたけれど、田島さんのほうが目立ってしまった、、、。楽しくビールづくりに励んでいる感じが伝わってくる
醸造所オープンに向けて、
松本さんは、東京都墨田区にある両国麦酒研究所で
約2か月間にわたってビール醸造に関する研修を受け、
そして、2021年8月にBREWPUB OZONEで初仕込み、
以来、約3年にわたって、ビールをつくりつづけてきた。
ビールづくりは、終わりがないので、、、楽しいです、
同じレシピでつくっていても、まったく同じにはならなくて、、
ほんと、完璧なものはまだできたことがないですね、
両国麦酒研究所で教えてもらったことで、
やっぱり、麦の味がしっかりしているビールを意識しています、
あまりホップに頼るのではなく、
美味しいと感じる麦の味がちゃんと出ているものをめざしています、
左上にビールの瓶がずらりと並んでいるが、それらがこれまで醸造してきたビールの数々。現在、月に最大1500リットルほどが醸造できる設備を整えていて、そのほとんどはこの店で消費されるという。今後は設備を増強して、ほかへのビール販売にも力を入れていきたいそうだ。左から、イチゴを使ったビール、苦みを抑えたビール、ドイツ発祥の白ビール・ヴァイツェン。ももさんは一番右の白ビールが気に入ったようだ
こんな松本さんの言葉を聞いていると、
いや、もう、なんか、熟練の職人でしょ、
ぼくがこれまで取材してきた職人たちの言葉そのものである、
もちろん、技術とか経験は、
これからどんどん積み重ねていくことになるんだろうけど、
仕事の仕方というか、ビールづくりへの向き合い方は、
何十年と桶をつくってきた職人と
まったく同じである、
これまで松本さんが醸造したビールの種類は数十種類で
定番としてつくり続けているものもあれば、
すでにつくらなくなってしまったもの、
思い出したようにつくるもの、いろいろあって、
でも、毎回、毎回、新しい発見があるという、
やっぱり、一生勉強の職人と同じだなあ、、
フランス料理の経験が長いシェフの松葉秀徳さん。ビールに負けない美味しい料理が食べられるのもBREWPUB OZONEの魅力である。岐阜県恵那市でハムやソーセージをつくっているゴーバルのソーセージが食べられる。いや、美味しかったなあ、、、
あ、そうそう、
BREWPUB OZONEには、もうひとつ、
魅力的なところがある、
腕のいいシェフである松葉秀徳さんによる本格的な料理が食べられるのだ、
岐阜県恵那市で化学調味料・保存料・発色剤などを使用せずに
じっくり熟成させたゴーバルのソーセージ、
淡路麺業の生パスタと旬の食材を使用したパスタ、
燻製から自社で行っている燻製ポテトサラダ、
月替わりでり旬の具材を盛り込んだキッシュ、
低温調理と自家製ソースで仕上げたローストビーフなど、
BREWPUB OZONEのマネージャーの倉内正さん。どうしてBREWPUB OZONEを始めるに至ったかの経緯などを説明していただいた。運営母体である「わっぱの会」の代表の斎藤縣三(けんぞう)さんは、長年ビールづくりに取り組みたいという思いがあったようだ。それと、わっぱの会にゆかりのある大曾根地域を盛り上げたいという気持ちも重なってBREWPUB OZONEが誕生した。右の写真の真ん中が一番最初にできた「KENZO IPA」。代表の斎藤さんの名前から命名
生きていくのって、いろいろ大変だけど、
手づくりに近い美味しいビールとこだわりの料理、
それがあれば、
何とか乗り越えていけそうだ、
大量生産ではなく、
職人が小規模でつくるビールって、
そんな生きる力を少し分け与えてもらえる感じがする、、
(文・写真 小出朝生)
BREWPUB OZONE(ブリューパブ大曽根)
〒462-0825 愛知県名古屋市北区大曽根2丁目11番8号
TEL 052-913-3201
インスタ https://www.instagram.com/brewpubozone/
営業時間
平日 16:00~22:00 土日 13:00~22:00 (ラストオーダーは終了の1時間前)
定休日 毎週月・火曜日
🔸おまけ
ももさんの短い動画で店の雰囲気を感じてください。