小さな場所から生まれる夢のようなビール 一宮ブルワリー

一宮ブルワリーを運営するNPO法人「志民連いちのみや」の代表の星野さん、タータンエールでももさんと乾杯

一宮のまちづくり活動を行っているNPO法人の「志民連いちのみや」が、
その活動の一つとしてはじめたのが一宮ブルワリーである、
愛知県内ではもっとも小さなクラフトビールの醸造所といってもいいけれども、
同時に、愛知県内でもっとも早くクラフトビールをはじめたブルワリーである、、、
そんな小さなブルワリーのおいしいビールを求めて、ももさんと行ってきた、、

「志民連いちのみや」の代表である星野博さんは、一宮で生まれ育ち、仕事も地元、
ただ、地元の一宮は、暮らしいてもあまりおもしろくないと感じていたようで、、、
そんな思いに突き動かされるように、星野さんは一宮を盛り上げる活動をはじめていく、
それが今から30年以上前のことだ、
その後、そうした街づくりに関わるいろいろな活動を経て、2007年にNPO法人「志民連いちのみや」を設立した、、、、

一宮ブルワリーが誕生するまでの経緯を話す星野さん、一宮のここにも胸が熱くなる物語がある、、

そのころ、活動の拠点となっていた場所は、三八屋といって、
コミュニティ・カフェ、パブ、シェアスペースなどとしても活用していた、
その場所を拡張して一宮の人たちが集うカフェ「com-cafe三八屋」として生まれ変わったのが2010年、
そして、その翌年、「com-cafe三八屋」に併設するかたちで総面積4坪程の日本最小のクラフトビール工房である一宮ブルワリーが誕生した、、
今から14年ほど前のことである、、、

ただ、一宮ブルワリーが誕生する前にも、一宮にはクラフトビール工房があった、
じつは、一宮ブルワリーは、かつて一宮市内にあった「尾張ブルワリー」の製造技術を受け継いでいるのだった、、、
尾張ブルワリーは、 一宮に工場があった三星毛糸(株)の新規事業として1997年に開業、、
しかし、2006年に三星毛糸(株)がパチンコ店へ土地を売却し、 それに伴ってブルワリーは終了してしまったのである、、、

ももさんと訪ねた日は土曜日で、com-cafe三八屋はお客さんでいっぱいだった、、

紆余曲折があったものの、星野さんは、この尾張ブルワリーを「志民連いちのみや」で受け継ごうと思った、
クラフトビールの醸造は、尾張ブルワリーで醸造責任者を務めていた山田文隆さんが引き受けてくれることになった、、、
山田さんは伝統的なビールづくりを学んだ根っからのビール職人だった、
星野さんと山田さんは、クラフトビールづくりが商売になるとは思っていなかったが、
一宮を楽しい街にしたい、美味しいビールがつくりたいという、それぞれの熱い思いを持っていた、、
でも、当初、NPOの仲間たちは反対意見の方が多かったそうだ、、、
まだまだクラフトビールが一般的ではないときだったので、、、うまくいかないだろうというのが大方の意見だった、、
それらの意見を聞いたうえで、星野さんは、それでもやってみようと動き出した、、

手袋と手ぬぐいをどけて撮影すればよかったな、、、今まで訪ねたブルワリーのなかでマイクロブルワリーという言葉がもっともしっくりくるところである、、

2010年に発泡酒の酒類等製造免許を取得、翌年、一宮ブルワリーとして醸造を開始して、
その年の6月に1stバッチである「タータンエール」ができあがった、、、
開業当初は、100Lの寸胴鍋という最小システムのマイクロブルワリーで、
そこからタータンエール、一宮スタウト、ヴァイツェン、ゴールデンエールの4種類を定番として提供していた、、、

その後、一宮ブルワリー併設の「com-cafe三八屋」は醸造スペースの拡大や店舗改装を実施し、2019年にリニューアルオープン、
醸造スペースを拡大したことで、中国製の300リットルの発酵&貯酒タンク4基を導入して、
ブルワリーとしての態勢がより整った、、

カウンター席といっていいのだろうか、店の拡張前はこのカウンターの奥のスペースだけだった、、タータンエールはぶどうのフレイバー感があふれるブラウンビール

ぼくは、事前に仕入れていた情報として、
豊根村あさがね農園のブルーベリーとのコラボレーションによるクラフトビール「豊根の夢」というのがあるのを知っていたから、
あったら飲んでみたいなあと思っていた、、
しかし、残念ながら時期が過ぎてしまっていたようで、今回は飲むことができなかった、、
ブルーベリー果汁が贅沢な割合で使用されていて、酸味が特徴的なおいしいいビールらしい、、、
ももさんは、一宮ブルワリー最初のビールであるタータンエールを注文、
それはそれで、おいしそうだった、、、

そのほかの一宮ブルワリーのおすすめは
オリジナルのコーヒー豆「いちのみや珈琲」を使った黒ビール「138ブレントいちのみや珈琲スタウト」で、
熟成したレーズンのような濃厚な香りを感じられるビールらしい、、、
また、「スパイシーヴァイツェン」は、小麦麦芽のフルーティな香りをナツメグやコリアンダーなどのスパイスが特徴のビールで、モルト化していない大麦を使ってまろやかな口当たりだという、、、

こういう情報があったので、その日、持って帰って家でも飲みたいと思ったが、
持ち帰ることができるようなペットボトルに入ったビールも売り切れで、、、
一宮ブルワリーのクラフトビールは、com-cafe三八屋で提供される分でほぼ消費されるので、
一宮に来ないと飲めないといってもいいようだ、、

com-cafe三八屋の店長のコルク、かわいい店長である、犬好きのももさんはにっこりしていた、、

ひとりで醸造を担当している山田さんは、ここ一宮ブルワリー専任ではなく、
ほかで仕事をしながら、平日の夜、または土日を使って、ビール醸造を行っている、
週に1回醸造するビールは、com-cafe三八屋での提供によってほぼなくなってしまう、、、
また、星野さんは税理士として仕事をしながら、NPO法人の代表として一宮を盛り上げる活動にも力を入れ、
そして、この一宮ブルワリーの運営も行っている、、、
このビールづくりによって、大きな金銭的な利益が得られるわけではないだろうが、、
二人とも、一宮でクラフトビールをつくることによって、
何か大切なものを守っている、というか、守られている、、というか、
帰りの道すがら、そんなことをつらつらと考えていたら、
一宮ブルワリーでクラフトビールをつくることは、同じ夢をみんなで共有しているようなものだ、と、そんな気がした、、
まさに、夢のようなビールなんじゃないだろうか、、

尾張ブルワリーも含めれば、
愛知県内でもっとも早くからクラフトビールづくりに関わっていた
ブルワーの山田さんが醸造するビールを求めて、、、、
今度はゆっくり電車に揺られながら、飲みに行こうと思った、、、

文・写真 小出朝生

com-cafe三八屋はJR東海道本線の尾張一宮駅から徒歩5分、名古屋鉄道・名古屋本線の名鉄一宮駅から徒歩3分の場所にあるから、名古屋駅からも行きやすい

🔸一宮ブルワリー (com-cafe三八屋)
〒491-0859 愛知県一宮市本町4丁目1番9号
電話 0586-27-4838

🔸「ビールの縁側」というサイトで一宮ブルワリーのビールを購入できるようだが、、
ぼくが閲覧したときには欠品中なのか、購入できるビールは掲載されていなかった、、
タイミングが良ければ購入できると思う、、たぶん、

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