木材の業界新聞のモクモクさんの事務所は、
名古屋市内のマンションの一室だった、
名古屋陶磁器会館のアンティークな雰囲気とは異なり、
現代的で機能的な雰囲気で、
うちとはだいぶ違うなあと、ぼくは思った。
名古屋デザイン博が開催される場所は、
江戸時代から続く貯木場があったところで、
それは国内でも有数の規模を誇った、
そうした背景を持つ場所で
名古屋デザイン博なるものが開催されるため、
(世界デザイン会議という国際会議の誘致に成功した結果、
それに付随するイベントとして名古屋市が企画した)
なんか木材に関するスペースを設置したいと市は考えたようだ、
名古屋市からモクモクさんに企画の依頼があって、
水辺に板張りの広い憩いスペースが設けられることになった、
期間中、その憩いスペースを多く人が回遊することになるが、
なんか、このスペースを使って面白いことができないかな、
と考えたモクモクさんが、ぼくの勤める業界新聞に相談に来て、
じゃあ、やります、と手を挙げたのが、ぼくだったという経緯である、
ぼくの頭の中では、
陶器の作品の野外展示をやればおもしろいな、とすぐ浮かんだ、
その場所で、陶器の作品の設置ってできますか、
いいんじゃない、とモクモクさん、
その後、名古屋市の担当者にも同じ質問をしたところ、
安全に配慮してもらえるなら、という条件で許可が出た、
おそらく、今だったら、そんな簡単に許可が出たかどうか、、
なんかゆるーい感じで許可がもらえたのは、
やっぱり、そういう時代だったんだな、と思う、
そうと決まれば、
こんなことを、ぼくがお願いできるのは一人しかいない、
多治見市陶磁器意匠研究所のシマジマ先生に、
こんな企画があって、こんなことできないかと考えているんですけど、
と話すと、そこから先は物事が自然に転がりはじめた、、、
不思議だな、多くの意思が同じ方向を向いているとき、
物事って、こんなふうに進んでいくものなんだあ、、
とぼくは感動してしまった、
その時点で、ぼくの役目の大半は終わって、
あとは、ちゃんと陶器の作品の野外展示を開催できるように
名古屋市と若干の調整をするだけだった、、
平成元年の7月から11月まで開催された名古屋デザイン博、
その期間中の2週間ほどにわたって開催された、
シマジマ先生の声掛けによって集まった多くの陶芸作家による
野外作品展は、新聞にも取り上げられ、話題となったし、
参加した陶芸作家の方たちも楽しんでくれたのではないだろうか、、
少なくとも、ぼくは、すげー楽しかった、
これによって、
ぼくは少しずつ自分の役割というものに
気づくようになっていったのだった、、、