味わい深い甘い本みりんを復活させた 杉浦味醂

酵素の魔法

碧南市は、矢作川の良質な水と温暖な気候、そして海運の便が良かったことから醸造業が発展、
現在もみりん・白醤油・味噌・お酒などをふつくっているメーカーがある、、
戦後は25軒前後のみりん専業の製造業者が立ち並んでいたが、
現在では5軒のみが昔ながらの製法で、みりんをつくってる、、
今回、話をうかがったのは、大正13年(1924年)創業の杉浦味醂、
5社の味醂メーカーの中では最も新しい蔵元だけれども、それでも100年以上の歴史がある、
伝統的な「本みりん」の文化を守り続けているひとつである、、

杉浦味醂のみりん「愛櫻」
左が1年熟成させた愛櫻みりん、右が3年熟成させた愛櫻みりん
杉浦味醂の代表の杉浦嘉信さん
杉浦嘉信さん 熱い人である

碧南で醸造文化が芽生え、大きく発展したのは江戸時代の中期(1700年代後半)くらいから、、
今回、はじめて車で碧南の町をぐるぐると回ったのだけれども、
そんな江戸時代の面影のある建物や風景が残っていることにちょっと驚いた、、
碧南って、こんなに雰囲気のある町だったんだなあ、、、

杉浦味醂も、雰囲気のある門構えをしている、、、
門の横に木造の家があって、、結構古くて趣のある家である、、
その家の裏にみりんを仕込む小さな工場がある、、
到着すると、ちょうど仕込みの作業が始まっているところで、
まずその作業を見せてもらうことにした、、

杉浦味醂の門の前に立つ杉浦嘉信さん
門の杉浦味醂の看板がいい、後ろの木造の建物は戦後建てられたものらしいが、趣のある家である、、

みりんの発酵のプロセスは、日本酒のアルコール発酵とは大きく異なっていて、、
科学的には糖化・熟成というプロセスが主体となる、、
お酒は、微生物の「酵母」が糖を食べてアルコールに変えるけれども、
みりんは最初からアルコール(米焼酎)を加えるため、酵母が活動しない、、
その代わり、微生物である酵母が使う道具といってもいい「酵素」が魔法のような働きするのである、、、

6か月もろみを熟成

簡単に、みりんの技術的プロセスを確認しておくと、、、
まず最初に、蒸したうるち米に麹菌を繁殖させ「米麹」を作る、、
それから、その米麹ともち米、米焼酎(アルコール度数約40度)を混合してタンクに仕込む、
そして、待つ、、、
もちろん、米麹をつくることやもち米を蒸したりする作業は、熟練の技や忍耐が不可欠だけれども、
作業としては単純といえば単純である、、、
しかし、待っている間にタンク内で起きている反応こそが、みりんの肝となる部分である、、

みりんの製造工程、もち米を冷まして麹と混ぜる
蒸しあげたもち米を冷ましながら、麹と米焼酎を混合、それからタンクへ送る、、女性方が3,4人、男性が1人、作業をしておられた、、

タンクの中では、酵母による発酵(アルコール生成)をあえて止め、
酵素の力だけでお米を分解させているのである、、
アミラーゼという酵素が、もち米のデンプンを分解し、グルコース(ブドウ糖)やオリゴ糖へ変化、
これが砂糖を使わない天然の甘みになる、
もう一つ、プロテアーゼという酵素が、お米のタンパク質を分解し、アミノ酸へ変化、
これが旨味になる、、

そして、数ヶ月から数年かけてじっくりタンクの中で寝かせると、、、
糖とアミノ酸が反応し、自然に琥珀色へと変化する(メイラード反応)、、
それから、アルコール、糖、アミノ酸、そしてお米由来の脂肪分が分解された有機酸などが複雑に絡み合い、
みりん特有の芳醇な香りとテリが生まれるのである、、、

碧南では、この「糖化」の期間を非常に長くとっている、、
短期間で強制的に糖化させる現代的な手法とは対照的に、
常温でじっくり時間をかけることで、酵素が限界までお米の旨味を引き出し、
複雑な風味の層をつくり出すことができるからだ、、
杉浦味醂では、約6ヶ月間もろみを熟成させている、、、
これは標準的な純米本みりんの約2倍の時間に相当する、、、

みりんをこのタンクで約6か月間仕込む
このタンクの中で魔法が起きる
みりんづくりの工程、ちょうど麹ともち米を混ぜている
ちょうど蒸したもち米と麹を混合しているところ
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