ずっと前、名古屋市熱田区にある森安という帽子メーカーを取材して、そこのご主人である森安忠義さんの話を聞くうちに、ああ、いいなあ、帽子って、、、と思うようになって、それからぼくはいつも帽子をかぶるようになったのである、、帽子のなにがいいって、暑いときには日よけになり、寒いときには防寒になる、自転車に乗るぼくは、ヘルメットよりも帽子のほうがいい、帽子でおしゃれをするのはちょっとハードルが高いけれども、これからどんどん年を取っていったら、おしゃれにも挑戦してみようと思う、、
もっと、いろいろ帽子をつくっている人の話を聞いてみたいなと思っていたところ、
帽子作家の山中章子さんが名古屋で展覧会を開催していたので、声をかけて、後日、工房へお邪魔したのである、、
名古屋の中心地にあるマンションの一室が山中さんの工房である、、
山中さんは帽子と出会ってから30年以上にわたって帽子をつくり続けている、、
その理由は、よくわからないと話していたけれども、、、
ぼくだって、なんでこんな文章を書いているのかわからないのだから、そういうものなのかもしれない、、、
というわけで、帽子について、あれこれ雑談をしてきた、
文・写真 小出朝生

工房には麦わら系の帽子がずらりと並んでいた、
帽子の材料が手に入りにくくなっている
――帽子メーカーの森安さんの工房を見学した時、ブレードミシンで帽子を縫いあげていく作業を見学して、帽子づくりってすごいなあと感動してしまって、、それからぼくにとって帽子は特別な存在になりました、、
山中 あのミシンすごいですね、あの方たちには、もう全然かなわないんです、、テレビで見たことがあるんですが、「じゃあ次57センチ縫ってみようか」ってダーッと縫って「はい」って渡されて、その通りの大きさになっているんだから、すごいなって、、
──あの技術は、ほんとすごいですね、、
山中 帽子をつくっている者としては、ブレードミシンも欲しいんですが、、値段が高くて、、
それに、最近、とにかく帽子の材料がどんどん減ってるんです、、材料をオーダーするたびに、「それなくなりました」と、、
「いつ頃入るんですか」と聞くと、「ちょっとわからない」って言われ、「やってる方がご高齢になられたんで」という、、そういう話なんですよ、どんどん材料が減ってきてるんです、、
── そういう話はどの分野でも聞きます、、山中さんが帽子をつくり始めたきっかけは?
山中 最初はエレクトーンの講師をやっていたんです、、ヤマハの、、でも何かをつくるのが好きで、お花(布花)をつくり始めて、、
つくってるうちに、友達から「つくってほしい」とか、美容院から「成人式のかんざしが欲しい」とか言われて、少しずつ仕事になっていったんです、、
ちょうどその頃、ホテルウェディングからレストランウェディングに変わり始めた時期で、友達の美容師さんが「レストランでお仕事するから何かつくって」と言うので、ブーケとか髪飾りをつくって、、、そのうち「かぶれるものはできないかな」となって、帽子をつくり始めたんです、、

京都へ毎週通っていた
── 帽子づくりは、どこかで習ったんですか、
山中 最初は、中日文化センターなどで教えていらした先生に習いました、、その先生は、生徒を気持ちよくしてくださる方で、「先生、歪んでるんですけど」と言うと、「いいじゃない、手づくりらしくて」とおっしゃるんです、
生徒には優しいんですが、、、これじゃいけないなと思って、、、
向上していくために、、もっと違うところを探し始めたんです、
で、いろいろ探して、京都の先生にたどり着きました、
平野徳太郎という帽子の世界では有名な方です、その平野先生の教室に、毎週通っていました、、
── 名古屋から京都へ毎週ですか、大変ですね、、
山中 大変でした、、でも、そのときの自分にはそれが必要だったんでしょうね、、、
名古屋の教室にとどまっていたら、「こんなワンピース買ったからこういう帽子が欲しい」「じゃあ白はどう?」というやりとりをしながら、、、たぶん私はそこで止まっていたと思うんです、、
── 京都では全く違った?
山中 全然違いました、、京都の平野先生の教室では、つくった帽子に対して「これは何年代の何を参考にしましたか」「テーマは何ですか」と聞かれます、、全然そんなこと考えてもいなかったから、最初は面食らいました、、
私が何も考えずにつくっていた帽子を見て、先生が「これはね、背景が浮かんできますね。こういうお洋服を着て、あそこに立ってる絵が浮かびますね」とおっしゃって、、それまでと全然違うんですよ、
── 確かに、ぜんぜん違いますね、、
山中 それで自分も変わりました、、ファッションの本を読んで、何年代のデザインか、誰の何をモチーフにしたか、どんな映画を見てインスパイアされたか、ということを考えるようになりました、、
コンテストに出す時には、「テーマは何ですか」と聞かれたら、「こういうのがかぶりたいから」じゃなくて、ちゃんと背景を答えられないといけないんです、、
帽子を購入してくださる方に対しても、「これ可愛いでしょ、紺色いいよ」じゃなくて、「このレースは50年代のファッションの感じで、映画だとこういう人がかぶっていましたね」と言えるとバックグラウンドが見えるというか、、
もちろん、単純にかわいいからっていうのも大切ですよ、、でも、つくる側にとって、なぜこの形になったのか、なぜこの色なのかが分かっていると、帽子により説得力が出てきます、、


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