おはようございます、
そのおじさんは、しっかりした声で、しかもはっきりと
そう挨拶した、
朝のミニストップでのことだ、
おじさんは、お客さんで、
挨拶した相手は、ミニストップの女性の店員さん、
おじさんは何かを買って、お金を払うために
ぼくの後ろに並んでいた、
ぼくはペットボトルのカフェオレと梅干のおにぎりを買って、
無言でお金を渡し、無言でお釣りを受け取った、
頭さえ下げなかった、
いつものことだ、
コンビニでは、そんなふうな態度でも許さると思っていた、、、
でも、ぼくの後ろに並んでいたおじさんは、
自分の番がやってくると、まず、
おはようございます、
とはっきりと言葉を発したのだ、
えっ、とぼくはびっくりした、
コンビニで聞くような言葉ではなかったからだ、
はっきりと、明確な意思をもって発せられた言葉、
そのおじさんの信条のようなものが感じられる言葉だった、
ぼくは、お願いします、も、ありがとう、も
なんの言葉も発せず、むしろ不貞腐れたような態度で、
コーヒーとおにぎりを受け取ったにもかかわらず、
おじさんは、まったく異なる信条を表明していた、
その違いがショックだった、
これからも、ぼくは、コンビニで、
おじさんのように、はっきりと、
おはようございます、
と、言葉を発することはないだろうけど、
やっぱり、あんな不貞腐れたような態度は改めよう、と思った、
ちょこんと頭を下げることからはじめよう、
いろんな人に対して、
うーす、と挨拶するのではなく、
おざあす、くらいの挨拶はしよう、と思う、
それが、将来、おはようございます、
という言葉へとつながっていったらいいな、と思う、