風に包まれる幸せ

坂道を自転車で下りながら、
風の気持ちよさに、思わず、
気持ちいいなあ、と声に出した、

沢木耕太郎の「深夜特急」の中に出てきた
ブリーズイズナイスとはちょっと違う、
風に全身が包まれる気持ちよさだ、
むしろ風の中に自分が溶け込み
一体となったような感覚に近い、

裕福な家庭に育った志賀直哉は、
明治時代、中学生のころ、
高価な自転車を買ってもらって、
暴走族のように、
ノーブレーキの自転車を乗りまわしていた、

激坂の下りに挑戦したときには、
自転車のペダルを両足で固定して回らないようにして、
(ママチャリと違って、ペダルと後輪が直結しているため、
ペダルを逆回転すればバックもできる自転車だった)
ずるずると滑るように下っていった、
下りきったときには、
この坂を自転車で下ったのは、自分だけだだろうと満足を感じた、、、

ぼくの気持ちよさは、当然、志賀直哉が感じたものは全然違う、

ゆずの夏色の歌詞は、こんな感じだ、

そうだ、君に見せたい物があるんだ
大きな5時半の夕やけ
この長い長い下り坂を
君を自転車の後ろに乗せて、
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下っていく

この歌詞は、すごくいい雰囲気だけれども、
もちろん、ぼくの気持ちよさと違う、

ぼくはブレーキを握りしめないし、
志賀直哉のように、ずるずるとでもない、
思いっきり坂を下っていく、
そのときに風に包まれる気持ちよさを、
どのように表現したらいいのか、
わからない、、

その帰り道の途中、
手つないだをカップルと遭遇、
男女ともに30歳代後半くらいかな、、、
女性は妊娠をしているようだ、、
手をつないで楽しそうに話す二人、
その男性の笑顔がたまらなく幸せそうだった、、

そうだ、たぶん、こんな感じだ、
坂を自転車で下って、風に包まれる気分、
それは、気持ちいいではなく、
幸せだなあ、という感じ、
それに近い、、


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