先日、八事日赤病院の検査のとき、待ち時間がかなりあるので
病院内のコンビニ前に置いてある椅子に座って、
ぼけっと100円の紙コップのコーヒーを飲んでいると、、
目の前を見たことのあるおじいさんが通った、、、
あれ、Oさんじゃないかな、、、、
最近の病院はマスク着用を強要するので、、、
病院内を歩いている人はほぼマスクをしているのだけれども、
そのおじいさんはマスクをせずに、ぷらっと散歩でもしているような雰囲気で歩いていた、、
もう一度顔を確かめて、、、やっぱりOさんだ、、、
Oさん、と声をかけると、、、一瞬驚いた顔になって、、
それから、あれ、こんなところであなたに会うとは、、、、
今日はどうしたんですか? と尋ねられた、、、
確か、Oさんは90歳代半ばになる、、、
まだ杖をついてひとりで歩くことができる、、
でも、少しいろいろな記憶が混乱しているようなところがあって、、、
本当にぼくを認識しているのかどうかはちょっとあやしい、、、
心臓の検査で、、、
あら、それはよくないね、、、
Oさんは、今日は診察ですか?
いや、ぼくはここには何の用事もなくて、、、ただ、遊びに来ただけなんです、、
ほら、ぼくの家は近いから、、
Oさんの家は八事日赤の近くである、、
でも、杖を突いて歩いてくるには、少々時間がかかると思うが、
時間はたっぷりありそうだから、、、ゆっくり散歩するには、ちょうどいい距離なのかもしれない、、
家内も同じような年齢でまだまだ元気だから、、、
この前、どっちが先にいくか競争しようと話していたんです、、
でも、ぼくはそろそろ、、、、競争には負けそうだから、、
やっぱり競争はやめようと思ったところでね、、、
ぼくが、そんなふうには見えないですよ、、お元気そうだし、、、と応えると、
Oさんはそれから一呼吸おいて、
では、と言って立ち去って行った、、
Oさんとは、ぼくがまだ30歳になったばかり頃からの付き合いである、、
その後しばらく疎遠だったが、
昨年、ひょんなことからいろいろあって、Oさんのインタビューをして、、、
それを冊子にまとめたりした、、、
昨年はいろんなことを話したのだが、そのあたりのことも含めて、
もっと近況を話してよさそうなものだが、、、、
話の切り上げ方が唐突でちょっと気になった、、、
やっぱり、ぼくを認識していないのではないだろうか、、、
確かに、昨年、話しているときも、最後の頃は、同じ話の繰り返しだし、
ちょっと記憶が混乱してるのがよくわかった、、
90歳代半ばだから、、、まったく不思議なことではない、、
20代の頃から、ぼくは、おじいさんに話を聞くことが多かった、、、
高齢の方たちは、記憶が一直線につながっているわけではない、、
これが起きて、、次にこうなって、それから、ああなった、、
というように時間の流れと自分の記憶が一致していることの方がまれである、、
あんなのことがあったなあ、、、
それはいつ頃ですか?
いつだっかなあ、あの人がいたから、あの頃か、
心に残っている事柄と時間というのは、あまり相関関係にない場合が多いのだ、、、
Oさんは2日に1回は八事日赤まで遊びに来ていると話していた、、
ふらりと病院へ遊びにくる、
人がたくさんいるし、コンビニもあるし、
レストランも入っている、、
Oさんにとって、八事日赤はデパートみたいなものなのかもしれない、、、
一人になりたいと思うこともあれば、
寂しいなあ、誰かと会いたいなあ、と思うこともある、
ぼくもそんな心の動きを繰り返している、、、
年齢を重ねてもきっと同じだ、
人がたくさん集まるところへでかけていって、なんか心がざわざわして、うきうきして、
ちょっと刺激を受けて、、たまには人に会いに行ったり、、
そのあと、今度は一人静かに本を読んだり、コーヒーを飲んだり、
その繰り返しだ、、
さてと、そろそろ待合室に戻らないと、番号を呼ばれる頃だ、、
ぼくはそんなふうに思って、紙コップをゴミ箱にポイした、、
Oさんの姿はもうどこにもなかった、、、
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