スーツを仕立てる

オーダースーツに関するブログを読んでいて、
そういや、、、、と思い出した。

ぼくの家は裕福ではなかったけれども、
特別貧乏というわけでもなかった、
まあ、一般的な家庭といったらいいのか、
でも、現在の一般的な家庭と昭和の時代の一般的な家庭では、
だいぶイメージが違うので、なんともいえないが、
昭和の時代では、おそらく普通の家庭の部類だったと思う、

ただ、父親は、ぼくが小学校高学年の頃から、
東京へ単身赴任していたから、
あまり家にいなかった、
週末、家に帰ってきて、
日曜日にまた東京へ戻る、というような生活だった、
仕事は雑誌の編集者だった、

で、ブログを読んだとき、
ごくたまに、おそらくスーツの仕立て屋さんが家にやってきて、
父親の身体を採寸していた光景が
ぼんやりと浮かんできた、
そういや、、父親は、スーツを仕立てていたなあ、、、

前述したように、
ぼくの家は裕福ではなく、
みんなが貧しかった昭和の時代に
同じように貧しかった普通の家庭である、そんな家なのに、
なんでスーツを仕立てるなんて発想になったのか、
そこが不思議でならない、、

調べてみると、昭和30年代までは、
スーツはテーラーで仕立ててもらうのが普通だったようだ、、
ただし、それはいわば一生ものであり、一世一代のイベントだったという、
だとするなら、仕立て屋さんが家にやってきたあの時、
父親は、わくわくしながら晴れ舞台に立つような気分だったのだろうか、
もしそうなら、母親も、同じような気持ちになっていたはずだ、、、

父親も母親も、あの時、誇らしい気持ちになっていたのかもしれない、
そう思うと、
なんか二人とも一生懸命生きていたんだなあと、
なんとなく、しみじみしてしまった、、、

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