か細い黄緑のカマキリ

今も名古屋市港区には田んぼはたくさんあるけれども、、、
ぼくが子どもの頃、昭和40年代から50年代くらいか、
名古屋市内のぼくの住まいの近くにも
まだまだ田んぼがたくさんあった、
春から夏にかけて、学校に通う途中で、
カエルがよく鳴いていた、

その田んぼが、いまは、ほとんどなくなって、
住居に変わってしまった、
それはまあ仕方がないことなのだろうけれども、
それに伴ってかどうか、、、
最近、あまり虫を見かけなくなってしまった、、
夏の蚊くらいかな、、、
まあ、蚊もむかしよりも減ったような気がするけど、

カエルはもうほとんど見ないし、
夏のセミだって、ずいぶんと減ってしまった、
コオロギやバッタ、カマキリ、蝶や蛾、トンボ、クモ、、、
むかしは、夏から秋にかけて、
そんな虫たちがいっぱいいたけれども、
最近はずいぶんと数が減ってしまった、、、
ゴキブリだって、あまり見なくなってしまったなあ、、

衛生状態がずいぶんと良くなった影響も大きいだろう、
都市の暮らしが、どんどんと自然から遠ざかっていっている、、
これでいいのかと、心配になってくるほどに、
人だって動物であり、生臭い部分があるはずなのに、
四角のコンクリートに囲まれた暮らしを続けるなかで、
清潔な何かに進化したような幻想に支配されつつある、

今朝、家を出て車に乗ろうとしたら、
か細い黄緑のカマキリがぴょんと飛んだ、
アスファルトの道路の真ん中でじっとしている、
あ、カマキリだ、
ぼくの心はちょっとだけ弾んだ、

そこへ大きな車がやってきて、
カマキリの上の通り過ぎていった、、
あ、大丈夫かな、、、と心配になったが、
車が過ぎ去った後でも、
か細い黄緑のカマキリはアスファルトの上で生きていた、
お、よかった、とほっとしたぼくは、

あ、そうだ、と携帯を取り出して、
写真に収めようと近づくと、
か細い黄緑のカマキリはぴょーんと大きく飛んで、
どこかへ行ってしまった、

写真に撮られるのは嫌なんだな、、、
子どもの頃のように、
そっと近づいて、
ぱっと手でつかむ技を忘れてしまった、、、
いまのぼくは、もはやカマキリの敵ではなくなってしまった、

それがなんだかすごく寂しく感じられた、

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