段ボールに囲まれた家から、段ボールに囲まれた家へ、
なんとか引っ越しが終わった、、
天気に恵まれたのが幸いである、
当日は、ウエルカムバスケットの人たちが、総勢5名ほど、
男性3人、女性2人である、
家にあるものをとにかく段ボールへと詰め込んだから、
こんな重たいものを移動できるのか、と疑問に思うものもあったのだけれども、
やっぱり引っ越しの専門家は違うものである、
ぼくが、一つでも無理だわ、と音を上げた段ボールを4つも重ねて、
おっ、と気合を入れながら運んでいくのである、
その姿は熟練の職人そものである、

お客様~、この荷物はどこに置きましょうか? と女性に叫ばれて、
なんか、そこらへんにおいといてください、
と、いつもの調子で適当に答えていると、
スピーカー、好きなんですね、と、リーダー格の男性から話しかけられた、、
うちの親父も好きでね、よくこのスピーカーの音がいいんだ、とか言ってましたよ、
オーディオブームの頃は、みんなスピーカーに夢中でしたから、、、
そんな適当な会話をしながらも、
よっ、と掛け声をして、段ボールを3つ重ねて運んでいくのである、、
うちらにオツムのいいやつなんて一人もいません、、
みんな筋肉バカです、
一通り荷物を運び終わったあと、雑談をしていると、
例のリーダーが、一番の働き手である男性に向かって、
なあ、そうだよな、と声をかけた、、
すると、その男性も、笑いながら、それは言えてる、とにやにやとしている、
さらに、今日の荷物で重たいと感じたものなんて、一つもありませんよ、とうそぶくのである、、
最近はやたらと雨が続いていて、外壁塗装も遅々として進まず、
予定を大幅に遅れてしまっている、
引っ越しの日にはとうに終わっているはずなのに、未だ外壁塗装は終わらず、
足場が残ったままである、
そんな悪条件の中でも、ウエルカムバスケットの人たちは気にもせずに、
おっ、とか、よっ、とか叫びながら、
ものすごいスピードで段ボールを運んでいくのであった、、
何なんだ、この人たちは、、
まるで、『1・2の三四郎』に出てくるキャラクターのようである、、
この間、しろ太はずっとカゴの中にいて、か細い声で、いーと鳴いていた、、、
しかし、なんだねえ、引っ越しは大変だねえ、
エアコンの移設をお願いしたおじさんも、
引っ越しなんてしたことない、と言っていて、
ぼくが、10回くらいはしているかな、と答えると、
ひえー、と驚いていた、
引っ越しが好きなんだね、と聞かれたけれども、
いや、全然好きじゃないから、、、、
とにかく、まあ、終わってよかったけれども、
これからまた段ボールとの戦いが始まるのである、
内装の壁の漆喰塗らないといけないしなあ、、、
来年まで生きていたら、庭の桜が満開になるのを見られるはずである、、、
冒頭の写真は、段ボール部屋でひとりアンニュイに外の眺める、しろ太の後ろ姿
OFUSEで応援を送る

コメント