澤田酒造の梅酒づくり

常滑の酒蔵、澤田酒造は日本酒好きなら知っているはずである。ぼくも何度か飲んだことがある。日本酒づくりはだいたい秋から3月ころまでで終わってしまうから、6月となると酒蔵はなにをやっているのだろうか、、まあ、いろいろやることはあるのだろうが、6代目の社長である澤田薫さんに連絡を取ると、梅酒づくりをやっているという返答があった、、、あ、梅酒、つくっているんだ、、とその時初めて知った、、それからいろいろ澤田酒造がつくる梅酒について調べてみると、梅酒づくりにかける情熱が半端ないことがわかってきた、、同時に、梅農家がかかえる問題もいろいろあることがわかってきた、、取材後、澤田酒造の梅酒を購入して、ストレートでのんでみたところ、びっくりした、今まで飲んだ梅酒とはまったく別物、別格というか、、こんなに美味しい梅酒があるなんて、まだ飲んでいない人は早く飲むべきである、、

今回、澤田酒造の梅酒づくりの工程を案内・説明してくれたのは、副社長の澤田英敏さんである、

そのインタビュー内容の前に、澤田酒造の梅酒づくりを簡単に頭に入れておくとわかりやすいので、ちょっと紹介しておこう、、

梅酒づくりに使われる材料は、梅、氷砂糖、日本酒の3つである、、
梅は地元知多の佐布里梅というものを使っている、
佐布里梅をワラ灰を入れた水の中に一晩入れてアク抜きをして、それからエグミや苦みのもととなるヘタを一つひとつ取り除く、そのあとタンクの中に梅、氷砂糖、日本酒を入れて、静かに梅のうまみが出るのを待つ、
約3ヶ月後に美味しい梅酒が完成する、、、

澤田酒造にお話をうかがったのは6月の半ば、梅酒づくりの最終日である、、

文 小出朝生   写真 筒井誠己

元禄時代の梅酒づくりを再現

神戸生まれの姫路育ちの澤田英敏さん、もともと関西の方だからなのかどうか、話がとてもうまくておもしろい、、、
手前の黒い水がワラ灰の液である、、この取材後、自宅で梅シロップを漬けてみた、、
ワラ灰は準備できなかったけれども、梅のヘタはちゃんと取った、、

澤田 ワラ灰の液に梅を入れておくと、アク抜き殺菌ができます、それと、ワラ灰の液は強アルカリなので梅の細胞膜がとろけるというか、、そういう状態にしておいて、アルコール度数が低い日本酒でもしっかりエキスを引き出しやすくするということが、1600年代終わりの元禄時代に書かれた書物「本朝食鑑(ほんちょうしょくかがみ)」に載っています。その当時の人が、そのやり方を知っていたというのがすごいですね。

――確かに、すごいですね、、

澤田 今、ここまで手間ひまかけて梅酒をつくっているところはあまりないです、、
で、今日が梅酒づくりの最終日なんです、、

――いい香りがする、、、ヘタを取る作業をされている方たちは?

きれいな立派な佐布里梅
一つひとつヘタを取る、、
この一手間が味を左右する、、
ボランティアの方々、、みなさん、澤田酒造の梅酒づくりに携わることが喜びなんだね、きっと、、

澤田 ボランティアの方々です、

――体験とかですか?

澤田 いえ、がっつり戦力として作業をしていただいています、
実は、このヘタ取りのボランティアは予約待ちになっているというか、、、抽選なんです、
関東からも来ていただいてますし、一番遠くは北海道からも、、、

――ええっっっ、、、

澤田 うちの梅酒は、昨年も、全国梅酒品評会の「日本酒梅酒」部門で銀賞を取っているんですが、そういう梅酒づくりに関わることに対する喜びというんでしょうか、、そんな気持ちを持っていただいているのかもしれません、、どうやってつくっているんだろうという好奇心もあるかもしれないですね、、

――梅酒をつくるようになって20年くらいですね、、いつ頃から、ボランティアの応募が増えてきたんですか?

澤田 知らないいうちに、、、
はじめは従業員だけでやっていたんですが、それでは無理となって、近所の方に手伝ってもらうようになって、そこから口コミで広がっていったというか、、、
梅の量も増えていったんで、もう一般公募にしようと、、、
そしたらわーっと応募が増えていきました、、、

――パートではなく、、ボランティアとして、、、

澤田 そうなんです、もちろん、できた梅酒をプレゼントしますし、今日のお昼ごはんも提供しますが、、、
今年は都合が合わなかったんですが、、、毎年、北海道から数人のツアーで来られる方もいらっしゃいます、

――これ、皆さん、一つひとつ、梅のヘタを取っているんですよね、

澤田 そうです、ヘタを取らないと、エグみが出てしまうんです、ヘタを取るか取らないで大きな違いになるんですね、大きな酒蔵さんはヘタを取らないところも多いですが、、わたしたちはできるかぎり、そこは取っていこう、と、

佐布里梅が今後どうなるかは不透明だが、その存続を願う活動がいろいろ始まっている、、
オリンピック代表の女子バスケの髙田真希さんと澤田酒造との梅プロジェクトも始まっているようだ、、

――梅は地元知多の佐布里梅ですね、

澤田 今、佐布里梅を栽培されている農家は10軒ないです、、、
高いところに実がなるのでとるのが大変で、ほとんどが高齢の方たちで、、、
数年前に食品衛生法が改正されました、、、
それまで梅農家さんはアルバイト的な感じで梅をつくって、道の駅とかで販売していたんですが、それができないことになってしまったんです、、
また、梅は、だいたい 30年から 40年で実をつけなくなるんですが、現在の佐布里梅はもう寿命の時期が近づいていて、、新しい梅を育てる人も少なくなってきているので、、、
だからいろんな意味で、佐布里梅は絶滅の危機に瀕している状況なんです、、、、、

――そうなんですか、、なんか聞いたことがあります、道の駅で売っている梅干しや漬物がなくなるって、、、そんな状況なんですか、、栽培されるのは高齢者ばかり、、、

澤田 一番若手で70歳とか、、
日本の梅の食文化は、なくなっていく可能性があります、、、
佐布里梅は酸味が鋭くて、梅干しには最適なんです、わたしたちの梅酒にもぴったりで、、、、

1 2 3 4

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてください

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次