
ファイアートに夢中になる
加藤 日本で学校を絞って、イギリスの学校へポートフォリオを送ったところ、入学許可が来ました、それで、ロンドンで紙の修復のコースを持ってるカレッジがあったんで、そこのファンデーションコース(海外の学生が大学へ進学するために受ける、約1年間の『大学進学準備コース』のこと)に行くことにしました、
ファンデーションコースでは、ファインアートのデザインとかも含めた制作をやるので、すごく楽しかったです、
――日本の学校だと、まずデッサンが重要になるんですけど、、
加藤 あんまりそういうのは関係ないです、、
――どんなことをやるんですか、そこで、、
加藤 まずはアイディアをいっぱい出すことです、、とにかくものをつくって形にする、、それを説明する、技術は後からでもなんとでもなるだろうぐらいの感じで受け入れてくれて、、
松永 日本だと、まず最初にデッサンを重視する傾向にあって、それも意味あることだと思うけど、もう少し柔軟性があってもいいかも、、、日本のイギリスの美術教育って、かなり違うんですね、
――ということは、ファンデーションコースでは、修復ではなく、ファインアート的なことをやってたんですね、、
加藤 そうですね、、繊維を使ったり、私は折り紙を使って作品をつくったり、、、
学校の建物に鉄条網があって、刑務所みたいなところだったんです、、すっごい治安の悪い場所にあって、犯罪率も高いので、一人で帰らないようにと言われてたんですけど、、イギリスの冬は早く日が落ちるので、4時には真っ暗になるんですが、4時までに帰るっていうのは無理だったから、いつも一人で帰ることになりました、
――日本人は豊子さんだけですか?
加藤 そうですね、
1年間のファンデーションコースの後、次の3年間のBAコース(「Bachelor of Arts」の略で、日本における一般的な大学に相当する)に行くにあたり、どこを受けますかと聞かれたとき、もともと私は、修復の勉強がしたいとは言ってあったんですが、私は今やってることも楽しくて仕方がないから、、、、「君は、やらなきゃいけないと思うからやるのか、それともやりたいと思うからやるのか、どっちだ」と担当の先生から問われたんです、
で、本当は修復の勉強をすべきかもしれないけれど、そのときは自分の心に従おうと思ったんです、それで、セントラル・セント・マーチンズに行くことになりました、、そこはアバンギャルドな感じのアートカレッジです、
(セントラル・セント・マーチンズはジョン・ガリアノやアレキサンダー・マックイーンといったファッションデザイナーを多数輩出したことで有名な名門美術大学の一つ)
修復の仕事にたどり着くまでには、もう一度、やっぱりファインアート的なことをしばらくやりたいっていう思いがあっというか、修復の勉強をするには、バックグラウンドとして、アート、ヒストリー、サイエンスを実践することが必要だったんです、、
セントラル・セント・マーチンズでは、自由に思いっきりいろいろやらせてもらいました、、ビルの地下から10階まで紐を通して、インスタレーションをつくったり、、セキュリティの人に「これ危ないからどけろ」って何回も言われたんですけど、「まだクリティーク〔講評会〕をやってないから、終わるまでは取れません」と、結構そういう感じではっきりものを言ってました、、、

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